埼玉大学 研究機構 環境科学研究センター

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研究テーマ

コラム:バイオマス廃棄物を利用した低品質石炭のクリーン燃料化

掲載:2011年03月02日

分子環境科学部門・客員教授 坂本 和彦

農林業廃棄物として、オガクズ、稲藁や麦わらなどの植物性バイオマス廃棄物が有りますが、これらをうまく使って、燃焼時に大量の硫黄酸化物を排出する低品質の石炭のクリーン燃料化を研究しました。硫黄酸化物は酸化されていくと最終的には硫酸になり、大気中に放出された硫黄酸化物はまさに酸性雨の主要原因物質です。そこで、価格の安い、あまり利用されていない硫黄を多く含む粉末状石炭に燃焼時に発生する硫黄酸化物を固定する消石灰(硫黄固定剤)と、粉々に砕いた植物性バイオマス廃棄物を混ぜ、高圧で固めて、バイオブリケット(バイオマス廃棄物を含む成型炭という意味)を作りました(図1)。

このバイオブリケットは石炭そのものを使う場合に比べて、8、9割の硫黄酸化物と2割程度の二酸化炭素の排出を減らします。また、バイオマス廃棄物の添加により、著しく燃焼性が上がり、遠くへ輸送できる強度にもなり、経済性が有ります。このような性能から、日本の資金援助でこの製造工場が中国に作られようとしています。

石炭-バイオマスと消石灰からのバイオブリケットの製造

図1 石炭-バイオマスと消石灰からのバイオブリケットの製造

また、酸性雨による土壌酸性化が進んでいる地域では、このバイオブリケット燃焼灰により酸性土壌の中和と栄養塩の供給を行い、家畜堆肥を同時にまいてやることにより、市場性の高い農産物が得られるようになります。図2は、酸性土壌そのもの(a)コントロール)、それにバイオブリケット燃焼灰を加えたもの(b)、さらに家畜堆肥を加えた場合(c)の二十日大根の栽培実験の結果です。

バイオブリケット燃焼灰と家畜堆肥の同時施用が二十日大根の生長に与える効果

図2 バイオブリケット燃焼灰と家畜堆肥の同時施用が二十日大根の生長に与える効果

バイオマス廃棄物として、富栄養化してしまった水質汚染湖沼等で、窒素やリン化合物の吸収効率の高い水生植物を生長させ、それをバイオマス原料としてバイオブリケットを作れば、大気汚染・酸性雨対策、酸性土壌の改良、富栄養化湖沼の改善、温暖ガスの排出抑制が可能となり、廃棄物をほとんど発生させない総合的な環境保全対策が可能となります。

これらに関連する研究報告の詳細は下記のホームページをご覧ください。
http://www.spc.jst.go.jp/hottopics/0908airpollution/r0908_sakamoto.html

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