埼玉大学 総合研究機構 環境科学研究センター

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komatsu@mail.saitama-u.ac.jp

持続可能な水利用を実現する革新的な技術とシステム

地圏熱エネルギー利用を考慮した地下水管理手法の開発
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◆研究の目標・ねらい◆

本研究は地圏熱環境に着目し,地圏熱利用による地圏環境への影響を最小限にするための地下水の利用・管理システム(地下水管理指針)を提案することを目的とする.ここで,地圏熱とは不飽和帯および帯水層(飽和帯)を含めた地圏全体(地下水を含む)の持つ熱容量と定義する.

元来,地下水温度は地盤深度が深いほど高く,深度が浅くなるに伴って低下するが,近年,地球温暖化や都市のヒートアイランドの影響で浅層での地下水温度が上昇する逆転現象が起きていることが報告されている.また地圏熱利用(ヒートポンプなど)の実用化が進んでおり,地圏熱環境は今後さらに変化し,地圏生態系や地下水環境に影響を与える恐れがある.しかし,これまで地圏の熱環境に着目した研究例は少なく,地圏の熱的変化が,土壌物理学的特性,地盤の力学的特性,微生物生態系,地下水質,地下水の流動などに与える影響は明らかにされていない.

本研究では,まず選定した対象サイトで初期地圏環境の調査を行うとともに,ケーススタディとして近郊農地と都市部においてヒートポンプや地下水揚水・蓄熱などを含む地圏熱(地下水熱)利用システムを導入し,それらが地圏熱環境に与える影響を,土壌物理学的・力学的特性,微生物生態系,地下水流動,地圏熱ポテンシャル量などの継続的モニタリングから評価する.得られた結果をもとに,地圏熱環境を考慮した地下水の利用・管理指針を提案する.


 
◆研究計画の背景◆

地下水は貴重な水資源であり,その安全・安心な利用・管理手法の開発は,持続可能な社会システム構築の上で必要不可欠である.地下水は水資源としてのみではなく熱資源としての側面を有し,近年CO2削減やヒートアイランド対策として,地圏熱利用のヒートポンプ (GHP;Geo-Heat Pump)システムや汲み上げた地下水を蓄熱槽に貯蔵し熱エネルギーを取り出すシステム(GSS; Groundwater Storage System)の実用化が急速に進んでいる.また地下水は,流動の遅いところでは熱エネルギーを地圏に蓄え,必要に応じて取り出すことのできる蓄熱装置(AHS;Aquifer Heat Storage)としての役割も期待されている.

GHPシステムに関しては,特に海外において積極的に導入されているが,国内では地下水の持つ地圏熱利用可能量の評価手法,GHPシステムの計画・設計・施工に関する基準マニュアル,GHPシステムによるリスク評価ツールなどの開発・作成・整備が不十分であり,数十カ所の実用例が報告されているのみである.特に,地圏熱利用による地圏からの熱の取り出しや地圏への放熱や蓄熱は,地圏環境からみれば新しいタイプの汚染物質(熱汚染)という見方もでき,地下水汚染の一つと定義することもできる.例えば,地圏における熱環境の変化は,地圏における微生物活動や,揮発性有機化合物・重金属類などの有害化学物質の土壌水への溶解や揮発など,その挙動に大きく影響を及ぼし,二次被害としての新たな土壌・地下水・微生物汚染を拡大させる可能性がある.すでに地球温暖化や都市のヒートアイランドの影響で,浅層での地下水温度が上昇する逆転現象が起きていることが報告されており,局所的には明らかに地圏熱環境は変化している.このような状況に加えて, GHPやGSSシステムの実用化や地下水帯水層の蓄熱装置としての利用が進めば,地圏熱環境のかく乱にはより一層拍車がかかることが予想される.したがって,地圏環境への局所的な熱負荷が地圏(地下水を含む)における物質・熱循環および微生物動態に及ぼす影響を把握するための環境影響評価ツールの構築と,それに基づいた持続的で高度な地下水利用・管理手法の開発が急務である.

1)地中熱利用促進協会;http://www.geohpaj.org/
2)谷口真人「アジアの地下環境—残された地球環境問題」学報社(2010.3)

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